はじめに|「即決できない…でも他の人に取られたくない」という方へ
いい物件を見つけたけど、「まだ決断できない」「家族に相談したい」「他の物件も見てから決めたい」そんなときに頭に浮かぶのが 『仮押さえ』 という言葉ではないでしょうか?
結論から言うと、賃貸物件に“本当の意味での仮押さえ”は存在しません。
この記事では、元不動産屋の立場から、
- 賃貸の仮押さえの正体
- 即決できないときに取れる現実的な選択肢
- 実際にあった仮押さえのトラブル事例
を、初めての人にも分かりやすく解説します。
賃貸でいう『仮押さえ』とは?
不動産会社で使われる「仮押さえ」という言葉は、実際には入居申込を指しているケースがほとんどです。
よくある誤解
- 数日ならキープできる
- 他の人には紹介されない
- 内見して気に入らなかったらキャンセルできる
実際には?
- 入居申込書や身分証の提出が必要
- 先着順で審査が進む
- 申込=契約に進む意思表示とみなされる
つまり、賃貸では『とりあえず押さえる』ことはできず、申込を入れた時点で『入居の意思があるとみなされる』というのが現実です。
なぜ賃貸に仮押さえがないのか?
理由はシンプルで、貸主側にメリットがないからです。
- 空室期間をできるだけ短くしたい
- 本気度の低い申込を抱えたくない
- トラブルを避けたい
そのため、多くの管理会社や大家さんは仮申込というかたちを受け付けていません。
即決できない人が取れる3つの現実的な選択肢
気になる物件があっても、すぐに決断できない場面も少なくありません。
ここでは、そんなときに現実的に取れる3つの選択肢と、それぞれの注意点を整理します。
① 取られる覚悟で“検討”や“他の物件と比較”をする
最も確実なのはこの選択です。
賃貸物件には、先着順の原則があります。
取られてしまった時に「縁がなかった」と切り替えられるならば、この方法を取りましょう。
一方「どうしても取られたくない」時に、思い切って申込をするのもいいですが、キャンセル前提の申込はNGです。
賃貸仲介会社との信頼関係を損ねたり、思わぬトラブルに繋がる場合もあります。
② 仮押さえが可能か正直に聞く
原則として仮押さえはできないものの、ごく例外的に仲介会社がリスクを承知のうえで調整し、仮押さえのような対応を取るケースが存在します。
賃貸仲介会社は「お客さま」と「貸主・管理会社」との板挟みの立場にあり、契約につながりそうなお客さまを逃さないため、このような調整を行うことがあるのです。
仲介会社の仮押さえ調整の例

ただし、こうした対応の多くはあくまで非公式であり、仮押さえが保証されるものではありません。
また、仲介会社・入居予定者の双方にリスクがあるため、「できたらラッキー」程度に考え、仮押さえ前提で動かないことが重要です。
③ いったん見送る判断もあり
即決できない理由が、
- 何が重要かわからなくなっている(優先順位が曖昧)
- 妥協点が多い
- 賃貸営業マンの勧めに流されている気がする
このような場合、入居後の後悔につながりやすいです。
見送ったからといって失敗とは限りません。
むしろ、改めて希望条件や優先順位を明確にしていくことで、ずっと満足度の高いお部屋に出会えることも十分あり得ます。
どうせやり直すのならば、改めてしっかり準備をしたうえでお部屋探しを再スタートさせましょう。
👉以下の記事では、必ずやるべき事前準備として『部屋探しの軸』の作り方を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
入居申込後のキャンセルはできる?
結論:契約前なら可能です。
ただし注意点があります。
- 不動産会社・大家さんの心証が悪くなる
- 次回以降の交渉が不利になる可能性
- おもわぬトラブルに発展するケースも
「キャンセルできる=ノーリスク」ではないということを理解しておきましょう。
トラブル事例|仮申込が招いた最悪の結末
実際にあった、仮申込に関するトラブル事例をひとつご紹介します。
お客さまから「これに決めたい」と意思表示があり、入居申込の手続きを進めました。
ところが、お客さまの認識は“仮申込”。
その後に訪ねた別の不動産会社でも、別物件を申込。
結果、両方の物件の管理会社が同一であることが判明。
複数申込であることから、管理会社から「信頼できない」と判断され、どちらの物件もお断りとなりました。
希望物件どちらにも住めなくなるなんて、本末転倒ですよね・・。
なぜこんなことが起きたのか?
- 本人は「仮押さえ」のつもり
- 仲介会社・管理会社側は「本申込」と認識
- 複数の物件に申込=悪質と判断されてしまった
この事例からわかること
- “仮申込”の概念はない、ということを理解しておく
- 仲介会社と入居予定者のコミュニケーションが不足していた
- 仮押さえであることが発覚すると、“お断り”となるケースがある
チャンスを逃さないためにとった“仮申込”という行動が、結果的にチャンスを失うこともある、ということを理解しておきましょう。
【まとめ】賃貸の「仮押さえ」に期待しすぎない
この記事では、以下の3つのことを主にお伝えしてきました。
- 賃貸に正式な“仮押さえ”という概念はない
- 仮押さえ=入居申込と考えるのが正解
- 即決できない場合は『取られる覚悟で検討』『仲介会社へ相談』『見送り』の3択
私がお客さまのお部屋探しをする中で感じてのは『即決できない=妥協点が多い』ということです。
そして、この状態のまま強引に契約を進めても入居後に後悔が残ることが多いです。
その解決策としては、『迷わないように部屋探しの軸をしっかり決めておく』ことに限ります。
部屋探しを進める中で、
- “何を重視していたのか”わからなくなってきた
- “なんでこの物件を候補にしたのか”わからなくなってきた
- 色々見ていたら、あれもこれも譲れなくなってきた
こんな状態に陥った場合は、一旦部屋探しをストップして『軸をしっかり決める』ための準備に時間を使ってみてください。
👉『部屋探しの軸』の作り方についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
みなさんが納得のいく素敵なお部屋に出会えることを、心から願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

