「物件はほぼ決まっていて、あとは申込や契約をするだけ」
そんな状況で初期費用の見積もりを見た時、「思ったより高い・・」と不安になっていませんか?
この初期費用は、交渉によって安くなることがあります。
ただし、闇雲に交渉しても下がりにくいのが現実です。
重要なのは、
「どの費用を」「どのタイミングで」
交渉するか、ということです。
物件を決める前なのか、決めた後なのかで、交渉できる項目や成功率も大きく変わります。
この記事では、元不動産屋の視点から、これから仲介業者に交渉を依頼する人が知っておくべき現実的なポイントを解説します。
結論|初期費用の交渉は「項目」と「時期」で成功率が大きく変わる
初期費用の交渉は、「強く言えば通る」というものではありません。
初期費用には、交渉しやすい項目と、交渉が難しい項目があります。
さらに引越しの時期(シーズン)によっても成功率は大きく変わります。
繁忙期と閑散期では、不動産会社や大家さんの状況がまったく違うため、同じ内容でも「通る・通らない」の判断が変わることは珍しくありません。
まずは、初期費用交渉の全体像として「どの項目が交渉対象になるのか」「どの時期なら通りやすいのか」という2つの視点で解説していきます。
交渉しやすい初期費用・交渉しにくい初期費用
- 仲介手数料
- 礼金
- フリーレント1
- 家賃または共益費
最も交渉がしやすい費用が『仲介手数料』です。
仲介手数料は仲介会社のさじ加減で減額ができる費用なので、交渉に応じてもらいやすい費用です。
また、礼金やフリーレントについても他に比べて交渉がしやすい費用といえます。
家賃や共益費については、物件によって交渉の余地があるかは大きく異なりますが、数千円程度、減額を検討する余地を残して賃料設定をする貸主もいます。
- 敷金
- 火災保険料
- 鍵交換費用
- 保証会社費用
- 24時間サポート2など付帯サービス費用
支払った敷金は、退去時の原状回復費用にあてられます。
仮に減額や免除が出来ても、入居時に支払うべき費用が、退去時に変わるだけといったイメージなので、根本的な減額にはならないケースが多いです。
また、火災保険料、鍵交換費用、保証会社費用については、一律で決まった金額となるケースが多く、減額がしにくい費用と言えます。
一方、24時間サポートなどの付帯サービスについても同様ですが、その費用が契約に必須かどうかを確認することで、免除してもらえる余地はあるかもしれません。

24時間サポートは任意加入なら、不要です!
このように初期費用の内容には、交渉しやすい項目と交渉しにくい項目があることを知っておきましょう。
初期費用を交渉するベストな時期と避けるべき時期
初期交渉の成功率には、時期(シーズン)が大きく関わってきます。
賃貸業界には、引越しシーズンとなる『繁忙期』と比較的お部屋探しをする人が少ない『閑散期』が存在します。
繁忙期:1月~3月/9月
閑散期:7月~8月/11月~12月
初期費用の交渉を重視するのであれば、閑散期のタイミングを狙う方が成功率は高いです。
初期費用や家賃を下げなくても、入居者が決まる繁忙期に、交渉に応じてくれる貸主は少ないのです。

今の時期はすぐに入居者が決まるから、交渉には応じないわ
繁忙期は部屋探しの競争が激しく、条件交渉が通りにくくなります。
👉繁忙期の動き方や準備のポイントについては、こちらで詳しく解説しています。
ここまでで、
「どの初期費用が交渉対象になりやすいのか」
「どの時期なら交渉が通りやすいのか」
という全体像がつかめたと思います。
では次に気になるのが、実際にいつ仲介業者へ交渉を持ちかけるべきかという点です。
同じ時期・同じ項目でも、物件を「決める前」なのか、「申込のあと」なのかによって、交渉できる内容や成功率は大きく変わります。
ここからは、より実践的な視点で、交渉すべきタイミングについて解説していきます。
物件を「決める前」に交渉するべき初期費用
初期費用の交渉をするなら、最も成功率が高いのは物件を申し込む直前のタイミングです。
この段階は、入居の意思がほぼ固まっていながら、まだ正式な申し込みには至っていない状態。
仲介業者にとっても「このまま契約につながる可能性が高い」ため、条件調整の余地が最も残されています。
ここでは、申込直前だからこそ交渉しやすい初期費用と、その理由を具体的に見ていきましょう。
仲介手数料は「申込前」に交渉しないと通りにくい
申込直前のタイミングで、最も交渉しやすい初期費用が仲介手数料です。
仲介手数料は、賃貸仲介会社が独自に調整できる費用で、初期費用の中でも交渉がしやすい項目と言えます。
すでに2社以上の仲介会社を回っている場合は、
他社で提示された仲介手数料の割引条件をもとに交渉する方法が効果的です。
「別で検討している会社では〇〇円まで下げてもらえたのですが・・」といった伝え方であれば、強引な印象を与えずに相談できます。
一方で、キャンペーンなどですでに仲介手数料が割引されているケースもあります。
その場合は、無理に仲介手数料にこだわらず、家賃交渉など、他の初期費用の交渉を検討する方が現実的です。
仲介手数料以外の初期費用も、申込前に交渉できるものがある
家賃や礼金の減額、フリーレントの付与といった条件の調整は、仲介会社ではなく貸主や管理会社に決定権があるケースがほとんどです。
そのため、これらの交渉は「自分で直接伝える」のではなく、仲介会社を通して進めてもらうかたちになります。
ここでも重要なのが、交渉をお願いするタイミングです。
申込直前の段階で希望条件を伝えておくことで、仲介会社は最も適したタイミングで貸主や管理会社に交渉を持ちかけることができます。
早すぎても本気度が伝わらず、審査通過後では条件変更が難しくなるため、申込直前にまとめて希望を共有するのがベストです。
実際には、「この物件のオーナーは家賃交渉が難しい」「フリーレントはほぼ出ない」といったように、仲介会社からすぐに回答が返ってくるケースもあります。
申込前にこうした情報を得られれば、その物件で進むかどうかを判断する材料にもなりますし、無理に申し込んで後悔するリスクも減らせます。
物件を「決めた後」でも初期費用の交渉はできる?申込後の注意点
物件を申込んだあとに、「やっぱり初期費用をもう少し下げられないかな・・」と感じる人も少なくありません。
また、申込後に初期費用の見積もりもらって、交渉を希望するというケースもあるでしょう。
結論から言うと、申し込み後でも初期費用の交渉ができる可能性はあります。
ただし、これには注意点があります。
特に注意したいのが、入居審査を通過した後です。
この段階まで進むと、条件確定となり、追加の交渉には応じてもらえないケースが多くなります。
そのため、申込後に交渉を考える場合は、できるだけ早いタイミングで希望を仲介会社へ伝えることが重要です。
「すでに申込をしてしまったから」と、何も伝えずに審査結果を待つのではなく、一度相談してみてくださいね。
初期費用交渉が通りやすい人・通りにくい人の違い
同じ物件でも、交渉が通りやすい人と通りにくい人に分かれます。
これには、
- どの項目を
- いつ・どのタイミングで
- どんなかたちで伝えているか
ということが、大きく関わってくるのです。
そして交渉を通りやすくするために、もう一つ重要なこととしては仲介会社の営業マンとのコミュニケーションです。
初期費用交渉が通りやすい人の特徴
交渉が通りやすい人は、やみくもに値下げを要求していません。
あらかじめ「交渉できる可能性のある項目」を理解したうえで、最適なタイミング(申込直前)で希望をまとめて伝えています。
また、
- 入居の意思がはっきりしている
- 「ここまで交渉したい」というラインが明確
- 物件紹介や内見の段階から費用面の話を共有できている
といったように、仲介営業マンがオーナーや管理会社に話を持っていきやすい状態を作っているのも特徴です。
初期費用交渉が通りにくい人の特徴
一方で、交渉が通りにくい人には共通点があります。
たとえば、
- 申込後や審査通過後に突然交渉を切り出す
- 「とにかく安くしてほしい」と理由や交渉の意図が曖昧
- 高圧的・横柄な態度で仲介営業マンと接する
このようなケースでは、営業マン側もオーナーに交渉を持ちかけにくく、結果的に「難しいです」で終わってしまいがちです。
交渉内容そのものよりも、伝え方やタイミング、コミュニケーション面で損をしている状態と言えます。
交渉の成否を分けるのは「営業マンとの関係性」
初期費用の最終的な決定権は、貸主や管理会社にあります。
しかし、その間に立って調整するのは仲介会社の営業マンです。
部屋探しの段階からしっかりコミュニケーションがとれていれば、その後の交渉もスムーズに進む可能性が高くなるでしょう。
一方、お客さまだからといって高圧的な態度や横柄な態度をとっていると、当然心証が悪くなり、結果的に交渉がうまくいかなくなりやすいです。
交渉の場面に限らず、
- 希望や疑問点などはしっかりと伝える
- 無理な要求を一方的に押し付けない
- 「相談」というスタンスで話をする
といった、仲介営業マンとのコミュニケーションの積み重ねが、交渉の通りやすさに直結します。
初期費用交渉は、一方的な要求ではなく、条件を調整するための相談です。
この認識を持って、担当の営業マンとは良好なコミュニケーションをとることを意識しましょう。
元不動産屋が教える「交渉をお願いする時」の伝え方
初期費用や家賃の交渉は、『“伝え方”で結果が変わる』ケースが少なくありません。
強く言えば通る、というものではなく、「なぜ交渉したいのか」「どこまでなら納得できるのか」を、営業マンが理解しやすいかたちで伝えることが重要です。
ここでは、実際にそのまま使える交渉フレーズと、逆に印象を悪くしてしまいやすいNGな言い回しをご紹介します。
そのまま使える交渉フレーズ例
家賃や共益費を交渉したい場合

物件はとても気に入っているのですが、予定していたよりも毎月の支払額が少し高くなってしまって・・。
ここから2,000円ほど家賃や共益費が下がればありがたいのですが、交渉の相談は可能でしょうか?
この言い方のポイントは、
- 減額してほしい理由が明確
- 「下がれば嬉しい金額」が具体的
- 一方的ではなく「相談ができるか」というスタンス
という点です。
また、「大幅な値下げは期待していないけれど、少しでも下がれば…」という場合は、

1,000円だけでも下がったら嬉しいです
という表現も、実務上は多く使われます。
初期費用を抑えたい場合(仲介手数料・礼金など)

初期費用の支払いが思ったよりも高くなってしまって・・。
仲介手数料や礼金について、交渉の相談はできますか?
「初期費用を安くしたい」という目的を伝えておくことで、仲介手数料や礼金の交渉が難しい場合も、他の初期費用の減額に動いてもらえるかもしれません。
具体的に「いくら位までに抑えたいか」といった希望がある場合は、これも伝えておくようにしましょう。
印象を悪くするNGな言い回し
交渉したい理由や優先順位が見えず、営業マン側もどこをどう交渉すればいいのか判断できません。
結果的に、「難しいです」で終わることが多くなります。
前提として値下げできることを決めつけた、断定的な言い回しは避けたほうが無難です。
交渉ではなく要求に聞こえてしまい、相手の心証が一気に悪くなる原因になります。
初期費用や家賃の交渉は、あくまで「できたら嬉しい」ものと考えるのが基本です。
交渉が通らなかった場合でも後悔しないよう、費用面の上限を大きく超えた物件を前提に申し込むのはおすすめしません。
【まとめ】初期費用の交渉は「準備・時期・伝え方」で結果が変わる
賃貸の初期費用交渉は、どの項目を・どの時期に・どんな伝え方でお願いするかによって、結果は大きく変わります。
まず押さえておきたいのは、家賃や礼金、フリーレントなどの条件は、仲介会社ではなく貸主や管理会社が決定権を持っているという前提です。
だからこそ、仲介会社に「交渉しやすいかたち」で依頼することが重要になります。
交渉の成功率を上げたいなら、
- 繁忙期・閑散期といった時期(シーズン)を意識する
- 申込直前など、ベストなタイミングで希望を伝える
- 理由と希望額を明確にし、営業マンと良好なコミュニケーションを取る
この3点を意識するだけでも、結果は変わってきます。
また、交渉は「必ず通るもの」ではありません。
だからこそ、最初から交渉ありきで無理な条件の物件を選ぶのではなく、交渉できたら嬉しい、通らなくても納得できるラインを決めておくことが、後悔しない部屋探しのコツです。
初期費用にモヤっとしたまま契約してしまうと、「もう少し相談しておけばよかった・・」と後悔しがちです。
この記事を参考に、納得したうえで仲介会社に交渉をお願いしてみてください。
みなさんが納得できる物件に出会えることを心から願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

