なぜ不動産営業マンは特定の物件を勧めてくるのか?|賃貸仲介の仕組みと広告料の裏事情【元不動産屋が解説】

不動産営業マンが、特定の賃貸物件を勧めてくるのには理由があります。

もちろん、それが“お客さまにとってベストな物件である”という場合もありますが、一方で賃貸仲介側の裏事情が絡んでいることもあります。

この記事では賃貸仲介の仕組みや裏事情営業トークに流されない部屋探しのコツをご紹介していきます。

なつ
なつ

知っているだけでも部屋探しの失敗や後悔を防ぐことに繋がるので、ぜひ参考にしてくださいね。

なぜ不動産営業マンは「この物件」を勧めてくるのか?

賃貸仲介会社で物件紹介を受ける時、営業マンから特定の物件を強く勧められることがあります。

「この条件だと、これがダントツで一番いいですね」

「他の物件はもう埋まってしまっていて・・」

でも、なぜその物件なのでしょうか?

実は、仲介営業マンの提案には“お客さまの条件に合うか”だけでなく、賃貸仲介の仕組みや営業側の事情が大きく関係していることがあります。

この記事では、不動産営業マンが特定の物件を勧めてくる理由を、業界の構造とあわせて解説していきます。

賃貸仲介の仕組み|営業マンはどうやって収益を得ている?

不動産仲介会社は、貸主と借主が物件を貸し借りする際の、橋渡しの役割をしています。

物件オーナーである貸主には、礼金や毎月の家賃の収入がありますが、仲介会社にはそれらがありません。

仲介営業マンが特定の物件を勧める理由には、賃貸仲介会社の『収益の上げ方』が大きく関わってきます。

ここでは、賃貸仲介会社の『儲け』となる“2つの柱”について解説していきます。

① 借主からの仲介手数料

仲介会社の主な儲けは、仲介手数料です。

これは成約に対しての成功報酬となるため、物件契約に至らなかった場合に支払われることはありません。

つまり、どんなにたくさん物件を紹介して、内見にいったとしても、成約に至らなければ売上は0円。

また仲介手数料に関しては、成約物件や仲介会社によって割引がされるケースも多くあります。

金額は割引などの事情もありますが、まずは成約までつなげて仲介手数料を取得することが、仲介会社の収益の大きな柱となります。

② 貸主からの広告料

もうひとつ、仲介会社の儲けとなるのが貸主からの広告料です。

業界内では“AD”や”広告費”などさまざまな呼び方がされますが、簡単に言うと『貸主からの報酬』のようなものです。

「仲介手数料を割引してしまうと、儲けがほとんどなくなってしまうのでは?」と思う方もいるかも知れませんが、この広告料によってまかなわれているケースが多いのです。

不動産営業マンが勧める特定の物件とは?

それでは『仲介営業マンが強く勧める特定の物件』とは具体的にどのようなものなのでしょうか?

多くの営業マンはお客さまに合う物件を紹介すると同時に、なるべく高い売上を上げたいと考えます。

そのために、営業マンが勧める特定の物件について、2つご紹介していきます。

① 自社物件

一つ目は、自分たちの会社で貸主や管理を行う『自社物件』です。

自社物件での成約ができると、本来は仲介手数料や広告料のみだった収益が、家賃収入にも繋がることとなり、メリットが大きいのです。

また、本来支払うはずだった広告料も、他の不動産会社へ支払う必要がなくなります。

このようなメリットから、賃貸仲介会社によっては『自社物件での成約の場合は仲介手数料0円』というキャンペーンを実施しているところも多いです。

② 貸主からの広告料がある物件

営業マンが強く勧めてくる物件があった場合、貸主からの広告料がある、またはその金額が大きい物件である可能性があります。

広告料をつけて募集をするか、その金額はいくらにするか、ということは貸主が決めるもので、広告料がない物件も存在します。

物件オーナー
物件オーナー

この物件はすぐに決まるだろうから、広告料は出していないのよ

そしてこの広告料の有無や金額は、お客さまには開示されないため、お客さま側から見ると「なぜこの物件ばかり勧められるのか」が分かりにくいことがあります。

賃貸で“広告料がある物件”=“条件の悪い物件”なのか?

貸主が条件の厳しい物件に、広告料をつけるというケースは実際にあります。

貸主が広告料をつけるケース例

  • 空室が続いていて、なかなか入居者が決まらない
  • 近隣に好条件の賃貸マンションが多い
  • 閑散期で、そもそもお客さんが少ない

しかし一方で、

  • 空室リスクを防ぐため、好条件の物件でも広告料をつける貸主
  • 物件の良し悪しではなく、すべての物件に広告料をつける貸主

もいるため、好条件の物件に広告料がついているケースも数多くあります。

また、広告料の詳細はお客さまには開示されません。

大切なのは『広告料の有無』ではなく、『勧められた物件が本当に自分の住みたい物件か』ということです。

「この物件しかない」と言われたときに疑うべきポイント

広告料がついている物件のすべてが、悪い条件の物件ではありません。

しかし、以下のような物件に高い広告料をつけて、1日でも早く空室を埋めたいと考える貸主もいます。

  • 空室期間が長引いている物件
  • 駅から遠い・築年数が古いなど決まりにくそうな物件
  • なんらかの告知事項がある物件
告知事項とは?

入居予定者が知っておくべき、物件の重要な事実や瑕疵に関する事項。

『事故物件』のような心理的瑕疵や、『暴力団事務所や火葬場が近くにある』といった環境的瑕疵が多い。

そして売上のために、これらの物件を強く勧めてくる営業マンがいるかもしれません。

気を付けるべきポイントは、

希望物件はなかなか紹介してもらえないのに、条件外の物件をなにかしらの理由をつけて勧めてくる

という場合です。

また、物件検索サイトに掲載されている条件(礼金や付帯費用など)と、賃貸仲介会社から案内された条件が異なっていることもあります。

必ずしも意図的とは限りませんが、そのまま契約を進めてしまうと、借主が本来より多くの初期費用を支払うことになるおそれがあります。

少しでも違和感を覚えた場合は、以下の方法で条件を確認してみましょう。

条件確認のポイント

  • 複数の物件検索サイトで条件を確認する
  • 別の仲介会社にも、同じ物件の条件を聞いてみる

営業マンに流されず、納得して部屋を決めるためのコツ

結論:自分なりの『軸』をしっかり持つこと

営業マンに流されずに部屋を決めるために、一番大切なのは「知識」よりも判断の軸です

どんなに親切そうな営業マンでも、最終的に決断するのは借主である自分自身。

そのために、次の2つを必ず押さえておきましょう。

特に大切なこと①:希望条件と優先順位を明確にする

「家賃は高くても10万円まで」「駅徒歩は5分以内」「築年数は20年以内」といった希望条件。

ここまでは多くの人が考えていますが、更に大切なのは“優先順位を明確にすること”です。

  • 絶対にNGな条件は何?
  • 家賃と立地、どちらを優先する?
  • 築年数と広さ、譲れないのはどっち?

この優先順位が決まっていないと営業マンに流されてしまったり、迷走しやすくなってしまうので、希望条件をあげる以上に時間をかけて決めておきましょう。

👉 優先順位の決め方については、こちらで『手順書』を公開していますのでぜひご覧ください。

特に大切なこと②:物件検索サイトで事前に“市場感”を知っておく

内見前に、物件検索サイトで自分の希望条件に合う物件がどのくらいあるのかを確認しておきましょう。

理想は、『気になる物件をいくつかピックアップしておくこと』ですが、

「この条件だと、これくらいの物件数がある」という市場感を知っているだけでも、

  • 本当に選択肢が少ないのか
  • それとも営業トークなのか

を冷静に判断できるようになります。

結果として、「急かされて決めてしまった・・」という後悔を防ぐことにつながります。

【まとめ】納得できる部屋を選ぶために|営業マンより大切なのは“自分の軸”

賃貸の部屋探しで、営業マンの提案がすべて間違っているわけではありません。

ただし、営業マンには営業マンの事情があり、借主には借主の暮らしがあります。

「この物件しかない」と言われたり、あまり希望度の高くない物件を強く勧められた時こそ一度立ち止まり、自分の希望条件や優先順位に合っているかを冷静に考えることが大切です。

そのためにも、

  • 希望条件の整理と優先順位決め
  • 物件検索サイトでの事前リサーチ

この2つを意識するだけで、部屋探しの主導権は営業マンではなく、自分になります。

焦らず、流されず、納得できる部屋を選ぶことが、後悔しない部屋探しへの一番の近道です。

みなさんが素敵な物件に出会えることを心から願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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