「賃貸で猫を飼いたいけれど、壁や床を傷つけないか心配」
「退去時に高額な費用を請求されたらどうしよう」
猫と賃貸で暮らすなら、傷や臭いへの対策だけでなく、契約条件の確認、騒音、脱走まで考える必要があります。

私は賃貸仲介会社に10年間勤務し、現在は持ち家で2匹の猫と暮らしています。
この記事では、“元賃貸仲介・宅建士としての知識”と、“実際に猫と暮らして分かった失敗”から、賃貸で猫を飼うときの対策を解説していきます。
① 猫を飼う前に契約条件を確認する
室内の対策より先に確認すべきなのが、賃貸借契約上、本当に猫を飼える物件なのかという点です。
物件情報に「ペット可」「ペット相談可」と書かれていても、すべてのペットを無条件で飼えるとは限りません。
- 小型犬のみで、猫は不可
- 猫は1匹まで
- 飼育開始前に管理会社への申請が必要
- 追加敷金が必要
- 退去時に敷金を償却する特約がある
- 共用部ではケージに入れる必要がある
主にこのような条件が定められていることがあります。
猫を迎える前に、賃貸借契約書、重要事項説明書、ペット飼育細則を確認しましょう。
書類だけで判断できない場合は、仲介会社または管理会社へ次のように質問します。

猫を〇匹飼いたいと考えていますが、猫の飼育は可能でしょうか。
頭数制限・必要な申請・追加敷金・敷金の償却・退去時の特約についても教えてください。
口頭で「大丈夫」と言われただけで判断せず、契約書や飼育承諾書など、条件が確認できる書面を残しておくことが重要です。
② 壁や柱の爪とぎ対策をする
猫にとって爪とぎは本能的な行動です。
叱って完全にやめさせようとするより、爪とぎをしてよい場所を用意し、傷つけられたくない場所を保護する方が現実的です。
対策の基本は次の3つです。
- 猫が好む素材や高さの爪とぎを用意する
- 爪をとぎたがる場所の近くに置く
- 壁や柱、家具を保護シートなどで守る
爪とぎを置いても、別の場所でとぐことがある
我が家では、椅子を爪とぎにされて表面がボロボロになったことがあります。
猫用の爪とぎを置けば、必ずそこでだけ爪をといでくれるわけではありません。
猫によって、段ボール、麻縄、布などの素材や、横置き・縦置きの好みが異なるためです。
用意した爪とぎを使わない場合は、次の方法を試してみましょう。
- 実際に爪をとぐ場所の近くへ移動する
- 横置きと縦置きの両方を試す
- 背伸びできる高さのものを置く
- 好みの素材を確認する
- 傷つけられたくない場所を保護する
壁や柱だけでなく、ソファや椅子などの家具も対象として考えておきましょう。
爪とぎの詳しい対策は、別の記事でまとめています。
我が家で長く使っている爪とぎ
我が家で長く使っているのは「猫壱 バリバリボウル」と、「高さ80cmの極太爪とぎポール」です。
猫壱 バリバリボウル|使用期間約4年

爪とぎだけでなく、猫用ベッドとしても使っています。2匹で1つを使うことが多く、段ボール部分だけ交換できるため、本体は約4年使い続けています。
極太・猫用爪とぎポール80cm|使用期間約3年

高さがあるため、猫が背伸びをしながら爪をとげます。
重量があり、しっかりとした作りなので、我が家では2匹が飛びついても倒れません。
一方で、本体が大きいため、設置スペースは事前に確認が必要です。
写真右は、2匹で使用を始めてから約2年時点の状態です。
その後、約3年経った頃に交換用の新しいポールを購入し、現在も使用しています。
③ 床の傷・滑り・粗相対策をする
床対策は、目的を分けて考える必要があります。
- 傷を防ぐ
- フローリングで滑るのを防ぐ
- 粗相による染みや臭いを防ぐ
- 足音や飛び降り音を軽減する
1枚のマットですべてを完全に防げるとは限りません。
防水性、滑りにくさ、厚み、洗いやすさなどを、設置場所に合わせて選びます。
我が家では階段とリビングにマットを敷いている
我が家では、階段に滑り止め用のマットを敷いています。

また、リビングには子どもの転倒対策としてマットを敷いていますが、結果的に猫がフローリングで滑るのを防ぐことにもつながっています。
賃貸でマットを敷く場合は、次の点を確認してください。
- 床暖房に対応しているか
- 裏面のゴムや粘着部分が床へ移らないか
- 湿気がこもらないか
- 粗相した部分を洗えるか
- 原状回復時にきれいにはがせるか
長期間敷きっぱなしにすると、床材によっては変色や密着が起きる可能性があります。
定期的にめくって、床の状態を確認しましょう。
布団やクッションへの粗相はすぐに対処する
我が家では、布団やクッションに粗相をされた経験があります。
粗相に気づいたときは放置せず、すぐに洗濯しています。
洗えるものは、製品の洗濯表示と洗剤の使用方法を確認したうえで、オキシクリーンを使ってつけ置きすることもあります。
ただし、オキシクリーンを使用できない素材もあります。
色落ちや生地の傷みを防ぐため、必ず洗濯表示と商品の注意事項を確認し、必要に応じて目立たない場所で試してください。
洗濯だけで終わらせず、なぜ粗相したのかを考えて、トイレ環境も見直します。
- トイレが汚れていなかったか
- 猫の数に対してトイレが足りているか
- 猫砂を変更していないか
- 落ち着かない場所に設置していないか
- 布団やクッションを出したままにしていないか

粗相が繰り返される場合や、排尿時の様子に異常がある場合は、環境だけでなく体調上の問題も考えられるため、動物病院へ相談してくださいね。
④ 猫トイレを中心に臭い対策をする
猫の臭い対策は、芳香剤で隠すより、臭いの原因を残さないことが基本です。
- 排泄物をためず、こまめに片づける
- 猫砂とトイレ本体を定期的に交換・清掃する
- トイレ周辺の床や壁も確認する
- 換気を行う
- 粗相した場所を早く洗浄する
尿が床材や壁紙の下まで染み込むと、表面を拭いただけでは臭いが取れないことがあります。
賃貸では、トイレの下に防水性のあるマットやトレーを敷いておくと、床への染み込みを防ぎやすくなります。
消臭剤を使う場合は、猫がなめたり吸い込んだりする可能性を考え、猫がいる環境で使用できる製品か確認してください。
⑤ 足音や飛び降り音の騒音対策をする
猫は犬ほど鳴き声が大きくないと思われがちですが、走り回る音、キャットタワーから飛び降りる音、物を落とす音は、床や壁を通じて周囲へ伝わることがあります。
我が家では現在、騒音対策を目的とした特別な施工や防音用品は使用していませんが、ここでは賃貸住宅で確認したい基本対策をご紹介していきます。
- 厚みのあるマットを敷く
- キャットタワーやケージを隣室との境界壁から離す
- キャットタワーの下にマットを敷く
- 夜間に物を落とされないよう、棚や机の上を片づける
- 猫が夜中だけ過度に走り回らないよう、日中や就寝前に遊ぶ時間を作る
マットによる効果は、素材や厚み、建物の構造によって異なります。
「防音」と表示された商品でも、音を完全に防げるわけではありません。
猫の騒音で起こりやすいトラブルと具体的な防音対策は、次の記事で詳しく解説しています。
⑥ 玄関・窓・網戸の脱走対策をする
猫の脱走対策は、窓だけでなく玄関にも必要です。
我が家では、玄関を開けたときに猫が足元からすり抜け、外へ出そうになったことがあります。

猫が近くにいることに気付いていても、人の足元を一瞬ですり抜けてしまうことがあるので要注意です。
玄関は扉を開ける前に猫の位置を確認する
- 玄関を開ける前に猫の位置を確認する
- 宅配便などの対応時も扉を大きく開けたままにしない
- 玄関と室内の間に脱走防止柵を設置する
- 家族全員で玄関を開けるときのルールを決める
低いワイヤーネットだけでは、飛び越える猫や倒してしまう猫もいます。
簡易柵を使う場合も過信せず、猫の体格や運動能力に合った高さと固定方法を確認してください。
賃貸住宅で柵を設置するときは、壁や床に穴を開けない方式を選び、契約上問題がないかも確認します。
網戸にはロックを付ける

我が家では、Seriaの網戸用ロックを全窓に付けています。
網戸が勝手に開くのを防ぐ対策にはなりますが、網戸そのものの破れや外れまで防げるわけではありません。
窓を開けるときは、ロックだけに頼らず、網戸の状態と猫の位置も確認しましょう。
猫による傷や臭いは退去時に請求される?
猫による壁・柱の傷や、通常の清掃では除去できない臭いは、借主負担になる可能性が高い部分です。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、ペットによる柱やクロスなどの傷・臭いは、借主負担と判断される場合が多いとされています。
ただし、猫可物件だから必ず追加費用が発生する、傷があれば室内全体の交換費用をすべて請求される、という意味ではありません。
実際の負担範囲は、次の条件によって変わります。
- 賃貸借契約書や特約の内容
- 傷や臭いの程度と範囲
- 入居年数と経過年数
- 入居時の室内状況
- 借主が適切な手入れをしていたか
追加敷金や敷金償却の条件も物件ごとに異なります。猫可物件に共通する一律の金額はありません。
入居時には室内の傷や汚れを写真に残し、退去まで保存しておきましょう。
新しく傷や粗相を見つけたときに放置せず、早めに対処することも重要です。
【時期別】賃貸で猫を飼うためのチェックリスト
猫を迎える前・入居前
- 契約上、猫を飼育できることを確認した
- 頭数制限と必要な申請を確認した
- 追加敷金・償却・退去時特約を確認した
- 入居時の傷や汚れを写真に残した
- 爪とぎと壁・柱の保護用品を用意した
- 床、トイレ周辺、玄関、窓の対策を決めた
入居直後・猫を迎えた直後
- 猫が爪をとぎたがる場所を確認した
- 滑りやすい床や着地場所にマットを敷いた
- トイレの下に防水対策をした
- 玄関と窓に脱走対策をした
- キャットタワーやケージの設置場所を確認した
生活中
- トイレと周辺をこまめに清掃している
- マットの下に湿気や変色がないか確認している
- 壁、柱、床の傷を放置していない
- 粗相の原因とトイレ環境を見直している
- 網戸ロックや脱走防止柵に破損がないか確認している
- 夜間の足音や飛び降り音に配慮している
賃貸で猫を飼う際のよくある質問
- 猫可物件でも傷の修繕費を請求されますか?
- 猫可物件でも、猫による壁や柱の傷、通常の清掃で取れない臭いについて、借主負担を求められる可能性があります。
ただし、負担範囲は契約内容、傷の程度、経過年数などによって異なります。
- 猫を飼うと敷金はいくら増えますか?
- 一律の金額はありません。
敷金が追加される物件、敷金の一部または全部を償却する物件、追加のない物件があります。申込み前に条件を確認してください。
- 賃貸の床には何を敷けばよいですか?
- 目的によって異なります。
粗相対策なら防水性、滑り対策なら表面の滑りにくさ、騒音対策なら厚みや衝撃吸収性を確認します。
床材との相性や、裏面が床に付着しないかも確認してください。
- 猫にも騒音対策は必要ですか?
- 必要になる場合があります。
走る音や高い場所から飛び降りる音は、特に下階へ伝わる可能性があります。
建物構造や部屋の位置によって音の伝わり方は異なるため、マットや家具配置で対策します。
- 脱走対策は必要ですか?
- 必要です。
玄関の足元からのすり抜け、網戸の開放や破損などが考えられます。
玄関と窓の両方を確認し、ロックや柵だけに頼らず、扉を開ける前に猫の位置を確認する習慣も作りましょう。
まとめ|契約確認と室内対策を猫を迎える前に済ませよう
賃貸で猫を飼うときに必要な対策は、次の6つです。
- 契約条件を確認する
- 壁や柱を爪とぎから守る
- 床の傷・滑り・粗相を防ぐ
- トイレと粗相による臭いを残さない
- 足音や飛び降り音に配慮する
- 玄関と窓の脱走対策をする
猫可物件でも、飼育条件や退去時の負担は物件ごとに異なります。
室内対策を始める前に、まず契約書とペット飼育細則を確認してください。
そのうえで、猫の性格や行動を見ながら、壁、床、トイレ、玄関、窓の対策を調整していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
関連記事

